わがまま即興曲。

「中野さーん!中野彩音さーん!」

なんとか病院にたどりつき、
待合室で待つこと30分。
ようやく、私の名前が呼ばれる。
さっきよりは良くなった気がしなくもないけど。

…危うく寝るところだった。

っていうか、
さっさと点滴でもなんでもして、
楽になりたい。
…注射は嫌だけどさ。

そんなことを思いながら、
診察室に入ると…


「彩音さん!大丈夫ですか!?」

と開口一番に言う、この主治医。


「……大丈夫じゃないから…ここに来たんでしょ?」

言い返す体力もそんなにないから、
ボケたこと言わないでほしいんだけど。

「熱は…38度か。
他に症状は?」

いつになく真剣な表情で聞いてくる。
こうして見ると、本当に医者みたいだ。
いや、まあ、医者なんだけどさ。

あと、この先生、
メガネをかけてて真面目ーって印象しかなかったけど、
よくよく見るとイケメンなんだよなあ…

目元とか…学校の方の谷中先生に
似てなくもない…

って何考えてんの?私。
熱で頭おかしくなっているのかもしれない。