暴れる彩音さんをなんとかおさえて、
血液検査をし、定期検診は無事終わった。

…疲れた。

今時、子供だってあんなに騒がないのに…
口が達者な分、余計たちが悪い。

おじさんみたいなことばっかり言うし。

何なんだあの子は?

他人に心配かけたくないからと、
痛みを我慢できるくらい。

仲の良い友達に嫉妬して、
自己嫌悪に陥るくらい。

強くて優しい子だと思えば、

注射針が怖いという子供のような面もある。

…やっぱり、不思議な子だな。

これが僕の抱いた印象。

彩音さんの考えていることは
全然わからないけれど、
嫌な気分になることはない。

それどころか、
知らない面を知れば知るほど、
嬉しくなる。


今まで見てきた患者とは、
全然違うタイプの人だから、
興味深いんだろうなあ…と
自分では思っていた。



彩音さんという患者のことを
特別気にしているなんて、
考えてもいなかった。