わがまま即興曲。

目の前には処置室のベッドで眠っている彩音さん。

軽い発作だったらしく、
もう問題はなさそうだ。

あの時、なんですぐに、
発作がおきたことを僕に言わなかったのかと
聞いたら、

「言えるわけないでしょ?
ガキどもが心配するじゃん!」

と言われた。

それでも苦しいのは彩音さんでしょ?
とも思ったけど、

それよりも、
彩音さんの優しさに、
素直にびっくりしてしまった。


…実は先ほど、北川先生と彩音さんが話しているのが聞こえてしまったのだけど、
彩音さんは、病気の自分には何一つ良いところがないと思っているらしい。

全然、そんなことない。

彩音さんは優しい。


僕のことを初めて、"先生"と呼んでくれた。

認めてもらえた気がして嬉しかった。

最初は気難しそうだなと思ったけど、
良い子なんだということが良くわかった。


僕はこんな子を助けたくて医者になったんだ。

だから、できることをしっかり頑張らなくては!

彩音さんの姿を見て、僕は決意を新たにしていた。