わがまま即興曲。

「すみません。僕もそろそろ行きます。」

そう言って、急いで彩音さんを追いかけようとしたけど…

「もしかして、でーと?」
「でーとだ!でーとだあ!」

子供たちにからかわれる。
…どうしよう。
でも、早く追いかけないと!

「ち、違います!
とにかく、僕はもう行きますね。」

ちょっと冷たいかなとも思ったけど、
そう言ってその場を離れてしまった。


それより早く、彩音さんを見つけないと。
急いで病院内に戻る。



…見つけた。



「彩音さん!」

壁に手をついて苦しそうにしている彩音さん。

なんですぐに僕に言わなかったの?

そう思ったけど、いまはそれどころじゃなくて。

「大丈夫ですから…ゆっくり深呼吸して…」

なかなか発作は治まらない。
注射するしかなさそうだ。

「……ちょっと、ごめんね。」

そう言って彩音さんを横抱きにする。
相変わらず苦しそうにしている。

…すぐに助けてあげるから。

そう思って、急いで処置室に向かった。