「彩音さんの家ってもしかして、
ここから近いんですか?」

「もしかしなくても近いです。」

「病院から、結構近いんですね。」

「………先生さあ…
かかりつけの病院から、
すごい離れたとこに住んでる患者がいると思ってんの?」

「あ…それもそうですね。
…いや、でも、彩音さんの高校も病院の近くでしょ?」

この先生は、天然なのかもしれない。

「か弱くて病気持ちな娘を
わざわざ家から遠い学校に通わせる親が
どこにいますか?」

呆れて言ってしまって気づいたけど、
いつものノリで病弱ネタを使ってしまった…

「たしかに…って、
今、自分で、か弱くて病気持ちな娘って言いました?」

お…つっこんでくれた。

「か弱くて病気持ちな娘は制服で木登りなんかしないとでも言いたげな目でこちらを見ないで下さい。」

と言うと、

「ふふふっはは!
彩音さんて、面白いですね!」

と笑ってくれる。
…ちょっと勝った気がした。