キャッチボールって強い球が飛んできたりして、
結構動いたりするんじゃないか…って、
ビクビクしてたけど…


「………………?」

なんか、私の知ってるキャッチボールと違う気がする。

「三メートル以上、飛距離がないって…
凛、それはもう、才能だよね。」

雪乃が言う。

飛距離がないどころじゃない。
たきのりのボールは威力もない…

まあ、私には丁度良くて、
はじめてのキャッチボール、結構楽しいんだけど。

「彩音、いっくよー
……………っあ!」

たきのりの投げた球があらぬ方向へ飛んでいく。
私は絶対に取れない場所に球が落ちた。

コントロール力すらない…

球を取りにいかないと!って走ろうとしたら…

「あ!彩音は走らないで。
今のは私が悪いから。」

とたきのりが走っていく。

私の体のことで気をつかわせちゃったかな?
なんて思ったけど…

…………………

………………遅い。

ものすごく、遅い。

これ、私が走った方が、速いんじゃないの?


球足なし
ノーコン
足も遅い


…もしかして、たきのりって

「運動音痴?」

「お恥ずかしながら…」