「超人的なスピードで、 卵白を泡立てる病弱っ子を 私は初めて見ました。」

ほら!

…本当はさっきみたいに自分が病弱であると人にいうのは、私はあまり好きではない。

可哀想に…なんて思われ、同情されるのは、
絶対に嫌だ。一番嫌いなことなのだ。

だけど、
たきのりと雪乃の前なら、安心して笑って言える。

二人は私に同情なんてしないから…




あれは、中3の4月。
二人と一緒のクラスになり、話すようになって間もない頃。


体育の授業の前は、私が一番、憂鬱な時間だった。

私は他の子と違って体育ができない。
普通の子じゃないって嫌でも思わさせられる瞬間だから。

体育の授業を見ているのも嫌で、
いつもずっと、保健室に逃げ込んでいた。

この日も、
直前の昼休みに、たきのりと雪乃と仲良く話していて、
本当はこのまま一緒に着替えて、できることなら、体育の授業にも一緒に出たい。
なんて考えていた。