不覚にもその優しい笑顔に本気で安心してしまい、
ベットのそばから離れようとするメガネの
白衣の裾を掴んでしまった…

「彩音さん?」

驚くメガネ。

「私が眠るまで…」

ここにいてというのが恥ずかしかったけど、
途中でメガネは察してくれて、

「わかりました。」

と言ってくれた。
…私より断然優しいじゃん。

なんか、色々負けた気がする。

私は自分の負けはしっかり認める主義だから…

「先生…ありがとう…」

先生と呼んであげることにした。

「彩音さん…」

先生はちょっと、嬉しそうな顔をする。

「私なんかより…先生の方が…
ずっとずっと………優しい…」

それだけ言うと、私の意識が眠りにおちていく…

「そんなことないです…
彩音さんは、本当に優しい人だ。
自分では気づいてないかもしれないけど、
それが彩音さんの良いところ、なんですよ。」

と言った先生の優しい声が眠りにつく直前に聞こえた気がした。