「あ、あの!
彩音なら、文化祭で合唱部のミュージカルの
伴奏やりますよ?」


凛さんが突然そう言い出したので、一人で考え込んでいた僕が現実に戻る。


「だから、その練習で今は毎日忙しいので、
何を言っても無駄だと思います。」


彩音さんは集中してると頑固だからなあ。
ピアノを弾いている彩音さんを思い出す。


「もし会って話がしたいのなら、
文化祭にいらしたら、
良いのではないですか?」


続いて、そう提案された。

でも…


「文化祭って3週間後とかですよね?それまで、やっぱり心配なので…」


3週間も彩音さんの様子がわからないのは不安でしかない。


「彩音さんに何かあったら
すぐに僕に連絡できるように、
番号、交換して下さい。」


我ながらバカだと思ったけど、これしかないと思って、困惑する凛さんに強引にお願いをしてしまった。