わがまま即興曲。

「つまり、喧嘩して、
彩音に定期検診をすっぽかされて、
心配している、と。」

「お恥ずかしながら。」


呆れた顔をされてしまった。

まあ、無理もない。
主治医なのに、主治医の僕が原因で定期検診をすっぽかされてしまうだなんて。
誰が聞いたって呆れるだろうな。


「彩音は元気すぎるくらい、元気ですよ?」


「そうですか、よかった。」

その言葉を聞いて少し安心する。
それと同時にお友達の凛さんの言葉なら、彩音さんも言うことを聞くのではないかと思って、


「あの…こんなこと、頼むのは心苦しいんですけど、病院にくるように、と凛さんの方から…」

「絶対に嫌です。」


彩音さんに言ってほしいという前に、遮られて拒否されてしまった。
それどころか。


「普通に家に連絡すれば良くないですか?」


うう。ごもっともなことを言われてしまった。
たしかに僕は彩音さんの携帯の番号も知っているわけで、
本人に電話をかければ済む話なんだけど…

電話をかけたところで、出てくれるかわからないし。
そもそも、なんて電話をかけたらいいのかもわからないし。


「僕はただ、彩音さんが大丈夫ならそれでいいんです。」


元気でいてくれていれば、それでいい。