わがまま即興曲。

「嘘ですよ。
この前はお世話になりました剛先生。」

僕が少しへこんでいると、可笑しそうに笑いながら言われた。

そして、その笑顔まま、

「どうしたんですか？」

と、尋ねられた。


「弟に会いに来たんだけど、
留守みたいで。」


守の上の部屋に住んでる凛さんなら、何か知ってるかもしれないと思って素直に話す。


「先生なら、
修学旅行に行ってて、今いないですよ？」


「ああ！そうだった。忘れてた！」


そういえばイギリス行くとか行ってた！
どおりで、電話にも出ないし、部屋にもいないわけだよ。


「先生に何の用事があったんですか？」


当然の質問をされる…


「あ…えっと…」


彩音さんの学校での様子を
変わった様子がないかの確認を
という目的で来たと…言っても良いものか…

と悩んでいると、


「やっぱりいいです。」


と言ってあっさりと凛さんは去ろうとしてしまった。



「………あの！」

「はい？」


この際、彩音さんの様子さえわかればだれでもいい。
というか、弟よりむしろ、彩音さんのお友達である凛さんの方が近くにいてよく見ているのではないか。
そう思って、


「彩音さんは、どうしてますか？」


思い切って尋ねてみた。