「男としては、最低。か。」

本当にその通りだ。


「ま、それでも君が医者として間違っていなければそれでいいと言うのであれば、もう私は何も言わないけどね。」


僕の元指導医は、とんでもなく厳しい。


「僕はどうすれば…?」


「それは自分で考えなさい。」


ここまで僕を攻めて、僕が封印しようとしていた想いを無理やり引っ張り出しておきながら、今更そんな身勝手なことを言う。



気づいてしまった自分の想い。



彩音さんを特別に思っているということ。



でも気づいたところでどうすれば…



「さて、私はそろそろ行かないと。谷中くんももう上がりでしょ?
わからないだろうからひとつだけ教えてあげる。
空蝉がいつになく怒った理由。」


たしかに、進本さんがあそこまで怒るのは珍しい。
と思っていたら、

次に知った事実は無意識に僕を突き動かすくらいの威力があった。