わがまま即興曲。

「ハァ…ハァ…ハァ…」

るる達から見えなくなったところで、
壁に手をついて止まる。

もう、歩けそうにない。

それどころか、立ってるのもつらい。

どうしよう…
病室じゃないからナースコールもできないし…

「彩音さん!」

私が困っていると、
追いかけてきたメガネが私に気づく。

「ハァ…ハァ…」

胸が苦しい…呼吸が上手くできない。
だけど、これで助かったと不覚にも思ってしまった。

「大丈夫ですから…ゆっくり深呼吸して…」

悔しいけど、メガネの声が頼もしくて安心する。
苦しいのはまだ治らないけど…
ひとりでいる不安から解放された。

「……ちょっと、ごめんね。」

中々、発作が治まりそうにないのを見かねてか、
メガネはそう言うと私を横抱きにした。
普段の私だったら、ふざけんなっ!って
いうところだけど…
今の私にそんな余裕はない。

この苦しさから解放されるならそれでいい。

そう思って心置きなく身を委ねてしまった。