≪もうてめえの世話になる事なんかねえから安心しろ!≫

「つまり、前回の診察の時に軽く言い争いになった、と。」

心当たりがないわけではない。

僕は前回診察に来た時のことをありのまま話した。

「でも僕は主治医として注意をしただ………すみません。」

言い争いになった原因について僕なりの主張をしようとしたら、
あまりにも冷たい視線を投げられたから思わず謝ってしまった。

「………。」

無言で缶コーヒーを啜る進本さん。
自販機コーナーに気まずい沈黙が流れる…


診察室から場所を変え、この自販機コーナーで僕は進本さんに事情聴取をされていた。


「も、もしかしたらうっかり忘れてるだけかもしれないので、お家か本人に電話を…」


沈黙に耐えきれず、絶対にないとは思うけど、そうだったら嬉しいなと思って希望的観測を口にすれば…


「あの子は今まで一度も定期検診を忘れたことはありません。
来ないのはどう考えても自分の意思でしょうね。」


ときっぱり言われた。

彩音さんが今日来なかったのは、他でもなくあの時の言い争いが原因だろうと副音声で聞こえてくる。


…はあ。


まあ、そうなんだろうな。


薄々は気づいていたし、
もしかして本当に来ないのではないか。と朝から嫌な予感もしていた。