「たきのり、変わったね。」

「え?」


思わず口から漏れてしまった言葉に
たきのりが疑問の表情を浮かべる。


「たきのりはよく逃げるから。」

「逃げのたきのりと呼んでくれ。」

話そらすところは相変わらずだけど。

「あのねえ、今、真面目に言ってんの!」

「ごめんなさい…」


「たきのりは、いつも大事なことから逃げるところあったから。
今回、逃げずに戻ってきてくれて、
嬉しかった。」




それに比べて私は…


ふと携帯を見る。

時間はもう病院の診察時間が終わる頃。

連絡は、何も入ってなかった。


…まあそうだよね。

わかってた。

わかってたのに、あいつが連絡してくるかなあ…なんて思ってしまった。


バカみたい。


これじゃあまるで駄々っ子だ。
先生が優しくしてくれなかったから、病院に行かなくなったワガママ娘だ。


もうやめよう。

文化祭終わったら、ちゃんと病院、いこう。