正直、理由はちょっと話したくなかった。

やめた希美という後輩とたきのりは去年色々とあったのだ。

簡単に言うと希美とその親友に一方的に売られた喧嘩にたきのりが勝利した。
喧嘩を売った希美の親友は部活をやめることになったのだけど、
納得いかなかった希美はその事件のあともずっとたきのりの陰口を言っていた。
そのことでどんどん部員のなかで孤立して行って、ついに今回、部活をやめてしまった。そういうわけなのである。

「あのワガママ、
全然、晶子先輩の言うこと聞かねえし。
やめてくれて清々したわ。」

たきのりは悪くないと言いたいのだけど…

「希美ちゃんと晶子先輩が
仲悪くなったのってさ?
やっぱり、私のせい、なのかな?」

こいつはめちゃくちゃ気にしている。

まあ、そうだよね。
たきのりはちょっと天然が入ってる不思議ちゃんだけどそういう人の感情には意外と敏感だ。

一方、私は小賢しい。たきのりのそういうところをわかってて利用させてもらうことにした。


「たきのりが責任感じてんなら、
代演引き受けたら?」