「たきのり、文化祭、暇?暇だよね?
料理部の喫茶店は時間短いから、
シフトそんなに入ってないもんね?」

ほら、たとえば…凛とか。
彩音、仲良かったよね?
凛だったらこの役のソロ曲、年末のコンサートで歌ってるし、完璧なの。
というかむしろ、凛くらいしかできる人いないの。
お願い!凛を説得してきて。
彩音にしかできない!


と言われてしまったもんだから、
使命感に燃えてしまった私は、さっそくたきのりに交渉に入るけど…


「合唱部のミュージカル、出てくんない?」

「やだ。」

「即答かよ。」


とまあこの調子で全然取り合ってもらえない。


「ていうかさ、
何で今さら代演の話がくるの?」


たきのりがもっともな疑問を口にする。


「希美が晶子先輩と喧嘩して部活、
やめたから。」

理由を話すと、予想通り、たきのりは暗い顔をした。