しかしいくら忘れようと頑張っても、
その日は嫌でも近づいてくるわけで…

「定期健診…」

中間テストが終わって、ふと手帳をみると、
それは今週末に迫っていた。

「彩音?なんか言った?」

「あ…いえ、なんでもないです。」

「そ。じゃあ初めからやるから伴奏よろしく!」

合唱部部長の晶子先輩に話しかけられて、我にかえる。
文化祭で上演するミュージカルに向けての練習中なのだ。
伴奏係の私もちゃんと集中しないと。

《〜♪〜♪………》

………?

伴奏を弾いているけれど、なんかいつもと違う。
歌が入ってくるところで、何も入ってこない。

「あれ?希美はどうしたんですか?」

今の部分で、歌うはずの後輩がそういえばいないことに気がついた。

「それがねえ…部活やめちゃったんだよね。」

「は?」

何をいってるのかよくわからない。
だって、希美という後輩の役はそこそこ重要な役でソロだってあるのに。
文化祭まで一ヶ月を切ったこの時期にやめるか?普通。
まあ、色々と問題を起こすやっかいな後輩ではあったけど、
それでも、無責任すぎるだろ。


「代演が見つからなくて困ってるんだよね。
彩音、誰か友達でできそうな子いない?
ほら、たとえば…」