わがまま即興曲。

「ちょっと待ってください!」

先生に呼び止められる。

何よ?
友達少ない私に同情でもしてんの?

本当にムカつく!

ムカつくから無視して走る。

「彩音さん!?」

私がいきなり走り出したから、
驚いたんだろう。

びっくりした声が後ろから聞こえた。


まあ無視したけど。


人多いし。
ちょっと走れば撒けるだろう。

ちょっとくらいなら、私の体でも、なんとかなるって思ったんだけど…


「何、走ってるんですか!?」

想像以上に速足で追っかけてきた先生に怒られた。

「はぁはぁ…先生、意外と速いね。」

「彩音さん、自分の体のこと、わかってますか?」

「自分の…こと、くらい…わかって、ます。」

ちょっと走るだけで、こんなに息切れするポンコツと、
産まれたときから付き合ってるからね。

「わかってないです!
まだ、病み上がりなんですよ?
ゆっくり歩いてください!」

「うるさいなあ!
こんくらい大丈夫だって!
本当に何しに来たわけ?」

やっと息が整ったので、言い返してやると…

「それは…」

先生が口ごもる。

何なんだ?本当に。

「はあ…話があるなら、はっきり言ってくんない?」

そう言ったら、


「お友達と合流するまで、一人なら、
それまで、一緒に回りませんか?」


とんでもない提案をしてきた。