「彩音さん!」


「え!?」


とても聞き覚えのある声に後ろから呼び止められた。


って!


「なんで、ここにいんの?」


そう聞きながら振り替えると、
私の予想通り、
主治医の谷中 剛がそこに立っていた。


「あ…え…えっと、花火見たくて…
奇遇ですね。」

なんで、そんなしどろもどろ話しているのか。

「私がいなくなって暇なんですか?」

「そんなことはないです!」

「暇じゃないのに、花火見に来たんですか?」

「そんなこともないです!」

「………」

「……あ。」

なんなんだ?こいつは?


「てか、何?一人できたの?」

「そうですよ?」

うわあ………

「花火大会に一人で来るとか、寂しくないわけ?」

「え!?
でも、彩音さんも一人じゃないですか?」

「私は友達と来たの!
でも、友達が他の友達と話してるから、
今は一人で回ってるの!」

「そうですか。」

「何よ?なんか、文句ある?」

………あれ。自分で言ってて、悲しくなるなこれ。

なんか、腹立ってきた…


「じゃ!私、もう行くから。」

いたたまれなくなって、その場を離れようとしたけど…