彩音さんのことを…?

女の子として…?


《あんたが主治医で…よかった。》


彩音さんが僕のことを先生と呼んでくれて、
主治医として認めてくれた時、
すごく嬉しかった。

でもそれは、医者として、
担当患者に認められた嬉しさであって…


《先生…結構、かっこいいな。
頼もしいな…って思ってた。》


彩音さんにそう言われたとき、
正直、ドキドキした。

あれ?
どうして?
この感情は?


不安な気持ちを、
自分自身にさえ、隠すように明るく振る舞う彩音さん。

その姿を見て、
僕はいつも、目が離せなくなる。

それは、医者としての感情だと思ってたけど…
けど!!

でも、あんな子は初めてで、
どうにかして、救ってあげたい。
安心させてあげたい。

そんな気持ちが溢れてきて…

昨日の車のなか。

気がついたら僕は彩音さんを抱き締めていた。

ただの患者だったら、
あんな風に抱き締めない?

あの時、僕は何を考えて、彩音さんを抱き締めたの?



どうして…

今、

あの時の温もりを思い出して、


ドキドキしているの?