こうして、私の退院が週明けに決まった。

嬉しいけど、やっぱり不安で…

「今日はここにいましたか。」

私は相変わらず診察から逃げるけど、
先生はどこにいても見つける。

「20分か。最短記録だね!」

「………。」

「なんか、段々楽しくなってきちゃった!」

「………。」

「な、何よ?」

「診察、しますよ?」

「………わかった。」


先生は気づいてる。

退院できなくなったらどうしようって…
私が不安に思ってること。

不安だから、
こうして、診察から逃げて…
それすらも、冗談を言ってごまかそうとしていることも。


「ねえ、先生?」

「なんですか?」

「私、こんな面倒な奴で、ごめんね?」

「無理してなければ、それでいいです。」

「無理は…してないよ?
笑ってる方が好きなだけ。
やっぱり、できるだけ、笑ってたいんだ。
それでも、怖くて、笑えなくて、
泣きたくなったら、
その時は、また、泣かせてくれるでしょ?」

「いつでも。」

「ありがと。」


先生がいる。

先生がわかってくれているって思うと、
それだけで、心が軽くなる。


「これからも、よろしくね、先生。」


この入院で、
先生という人に、少しだけ私のことを理解してもらえた。
そのことがすごく嬉しかった。