もやもやした気持ちを抱えて、
私は診察時間がとっくに終わった病院へ行く。

「あれ?彩音ちゃん?
今日は診察じゃないよね?
どうした?何かあった?」

北川先生に開口一番にそう聞かれた。

「だって今日、
4月最後の日じゃないですか。
先生にはお世話になったし、
挨拶に来ました。」

「ああ!ありがとう、彩音ちゃん。
そういう律儀なところが、
彩音ちゃんの良さよね。」

「私の良さ?
こんな体の私に、
良さなんて、あるわけない!」

思わず昼間、球技大会でのことを思い出して
興奮して言ってしまった。

「彩音ちゃん?
なにか、あったの?」

「…なんでも、ありません。
すみませんでした。」

友達に嫉妬してしまったなんて、
醜いことを口に出して言いたくなかった。

「彩音ちゃん…」

北川先生は察してくれたのか、
静かに話し始める。