中野彩音。彩音さん…
僕の担当患者。

僕は最初、不思議な女性だという印象をもった。

今まで見た患者とちがって、
驚くほど普通の女子高生。

誰よりも何よりも普通に憧れる女子高生…



次に彩音さんは、優しい人だと思った。

困っている子供のために、
自分の体のことはそっちのけで、木登りしたり、
言葉使いはあれだけど…不安な気持ちでいる親子を元気づけたりもしていた。


どんな時でも明るくふざける彩音さん…


僕はバカだったから…
彩音さんは強いなあ…って思ってた。



けど…



違ったんだね。

彩音さんが笑うのは、不安に押し潰されないように…なんだね。



気づいてあげられなくて、ごめん………



彩音さん…



君のその明るさを、



いつか、本物にできるのだったら…



僕は何でもしてあげたい。




だから、もう、



独りで無理しないで…




僕がそばにいるから…




胸の奥からじんわりと熱くなるこの不思議な感覚は…



医者としてのもの………だよね?