わがまま即興曲。

「……あり、がと…。
ご……め…………」

「彩音さん!?どうしたんですか?
苦しいんですか?」

僕の言葉を聞いて、
彩音さんは何故か泣き出した。
…そんなに苦しいのだろうか。

「……ヒック…悔しい……の。
今日…た、楽しかっ、た…か、から……
こんな……体の、自分がっ…嫌……っけほけほ…」

ああ。
そういうことか…

お友達と話している彩音さんは本当に楽しそうだった。

「わかって…けど……
でもっ……逃げた、く…なって…ゼェ…
勝手に…っごほ…抜け出して……ごめ…」

泣いて呼吸がしづらくなっているのだろう。
喘息のような咳も聞こえる。

…まずいな。

「彩音さん…落ち着いてください。
話さなくていいですから。
ゆっくり深呼吸して。」

「ハァハァ……ゼェ…
私…ずっと…考えない…コホ…ようにって…頑張ってた…けど、
もう……限界…だよ。」


「…っ!!」

彩音さんの切なく苦しそうな顔と、悲鳴のような叫びに僕は言葉を飲んだ。


「私は…本当に………元気になれるの?」