わがまま即興曲。

そんな僕が彩音さんの異変に気付いたのは、
信号待ちの時。

やっぱり心配で、ふとバックミラー越しに彩音さんを見ると、
彩音さんは血の気のない顔色をして、
目をぎゅっと閉じ、
額に汗を浮かべていた。

…明らかに様子がおかしい!!


「彩音さん!?大丈夫ですか!?」


そう声を掛けたけど、
返ってきたのは苦しそうな息づかいだけ。

僕は急いで車を路肩に止めた。

「彩音さんっ!どうしました?」

焦って後ろに回り、そう聞くと、

「ハァ…酔った………
気持ち、悪い………。」

という返事が返ってきた。

どうやら熱が上がってきた彩音さんの体では、
車の揺れすらもキツかったらしく、
車酔いをしたらしい。

とりあえず、発作ではなくて安心したけど…

「少し………休ませて…。」

苦しそうな姿を見て、心配なのは変わらない。

彩音さんをシートに寝かせると
鞄から水を取り出して、

「水、飲んだら少しは落ち着くかも知れませんが…
飲めますか?」

と、聞いてみた。

「あり…がと……」

彩音さんは水を受け取ると、
少しずつ飲みはじめる。