わがまま即興曲。

「喧嘩した彼女を 迎えに来た彼氏って感じがする!」

…え?
僕が?彩音さんの?
な、なんてこと言っているんだ?
この子たちは!!

「はあぁー?だーれがこんな真面目君と!? あんたも何、赤くなってんの?」

彩音さんがこっちを見て怒る。
そりゃ赤くもなるよ!
……だって、彩音さんの…彼氏…だなんて…

「あ、本当に赤くなってる。」

彩音さんのお友達にからかわれる。

女子高生って本当に怖い。
守はよくこんな子たちと毎日会話ができるもんだ。
弟のことを改めて尊敬した。

「これにこいつの弟の爽やかさが、 10分の1でも入ってればまだマシなのに。」

彩音さんが言う。
僕もそう思うよ。
弟だったら、この状況も上手くかわすんだろうな…

「ん?弟?」

彩音さんのお友達は疑問に思ったらしい。
そっか、何も話してないんだったら、
知らなくて当然だよね。

「申し遅れました。 僕の名前は谷中 剛。 皆さんの高校にいる日本史教師の谷中 守は 僕の弟です。」

僕は少し遅めの自己紹介をした。