わがまま即興曲。

彩音さんのお友達は、
黒々とした髪の毛を後ろで高く結んでいる子と、
やや焦げ茶気味で肩より少し長いくらいの髪の長さの子の二人だった。

髪型でしか、判断できない。
我ながら情けない。

しかし、どっちが滝野 凛さんなんだろう…
と思っていたけど

………そういえば!

「…あの!さっきっから、僕の存在、 忘れてませんか?」

まじまじと観察してたけど、
全然会話に入れてない。

「え…?あ、いや、忘れてないです。 忘れてない。あはは…」

その反応、絶対忘れてたよね?

「ていうか、なんで、ここがわかったわけ?」

と彩音さんが嫌そうに聞く。

「それは内緒です。」

弟経由で聞いたなんて、とても言えない。
絶対怒る。

「なにそれ、キモっ! ストーカーなの?」

「違います!」

「何が違うの?この変態!」

「もう変態でいいです! とりあえず、帰りますよ!」

いつもよりテンションが上がって、
ただの女子高生モードの彩音さんと話すのは結構疲れる。

…そして、顔色的に絶対熱が上がってるだろうから、本気でそろそろ連れて帰りたい。


そう思っていると…

「痴話喧嘩?」

彩音さんのお友達のひとりが口を開く。
え?なんて言った?

「私もそれ、言おうと思った!」

もう一人のお友達ものる。

「違うわ! 何が悲しくて 主治医と痴話喧嘩せにゃならんのだ、 ボケがあ!」

彩音さんが怒る。

もうこの会話が僕には理解できない。