わがまま即興曲。

「聴診器………ですか?」

「うん。」

「注射の方が苦手だったのでは?」

「ああ?なんか言った?」

「あ、注射は今でも苦手でしたね。」

「うるさい!」

「すみません…」

「高校生じゃないんだから、
話の腰を折らないでよね?」

「彩音さんはいつもやるくせに。」

「先生、昔とちがって生意気なこと言うようになったな。」

「そうですか?」

「まあいいや。
…それでね。
先生って、小さい子に、
この聴診器で聞くと、なんでもわかっちゃうんだぞー?
みたいなこと、言ったことない?」

「あるかもしれません。」

「幼い私は、それを聞いて、
聴診器当てられてる時は、
思ってること全部知られちゃうんだ!
って焦ってた。」

「へ?」

「だからあ!
聴診器で心の中の気持ちまで聞こえちゃうんだって思ってたの!」