わがまま即興曲。

「あれ?先生、手術があるとかじゃなかった?」

ようやく落ち着いたので、
改めて起き上がって水を飲むと、
ふと疑問が浮かんだ。

「もう、とっくに終わりましたよ?」

「え?」

そういえば、窓の外が暗い。

「あ………今、何時?」

「7時すぎです。
夕飯は…食べられそうですか?」

「ごめん…食欲ない。」

「謝ることじゃないです。
…熱、測りましょう。」


そう言われて熱を測る。
上がってそうで嫌だなあと思ったけど、
本当に熱が上がっててへこんだ。

「どうでしたか?」

「内緒…」

「…怒りますよ?
熱、あったんでしょ?」

「そりゃ、熱くらいあるよ!
ない人間は死んでるよね?」

「………。」

「すみません。」

…進本さんばりの無言の圧力をかけられた。
私、無言に弱いんだなあ…

「9度8分って……」

体温計を見て、真剣な声を出す先生。

「人間、本気になればそのくらい熱くなれる!今なら、私でお湯が沸くんじゃね?」

「点滴します。」

逆にテンションが上がった私に、
先生はつっこみひとついれなかった。