わがまま即興曲。

「おーい!中野っ!」

「は、はい!何でしょう?」

「どうしたんだ?
さっきからぼーっと俺の顔を見て。」

え?え?
そんなに見てた?
…見てたわ。

「あ、すみません…」

恥ずかしい…

「謝ることじゃないけど。
大丈夫か?」

ギクッ

「大丈夫です!
問題ないです!
元気すぎます!
百パー元気です!
今なら、火星まで走れます!」

「お、おう。」

あ…
大丈夫かって聞かれて、
入院してることバレたくないばっかりに、
過剰反応してしまった。

これでは逆に怪しいではないか。
何が大丈夫かとも聞かれてないのに…

ちょっとごまかそう。

「あ、あの…この体育館が暑かったので、
ついつい、ぼーっとしちゃったんです。」

「ああ…な!ここ、サウナみたいだよな。」

よし!いけた!

「そうなんですよー外はまだ風あるのに、
ここは無風だから…」

これでごまかせた!

「だよなー
あ、俺そろそろ行かねえと!
じゃあ!無理はすんなよ?」

「もちろんです。」