「よっし!きたこれ!
進本さん!見て見てー
これなら明日学校行けるよね?」

「それは看護師の私が判断することではありません。」

「そうですけど…」

次の日の検温の時に、
体温計に表示された数字を見て、
喜ぶ私と、いつも通りの進本さん。

「今日は今から採血をする予定ですので。」

「え…」

喜んでいる私に辛辣な言葉が聞こえた。

「左腕を出してください。」

「ちょっと待って!
心の準備が…」

「………」

私の言うとおり、進本さんは待ってくれる。
無言で、そして無表情で。

「すみません。お願いします。」

何も言われないと、
待たせるのが逆に悪い気がしてしまう。

消毒されて針を刺される時の緊張感は
何度やられてもなれないけど…

そうだ!

「進本さん。
上手だったよね!」

「………」

進本さんは鉄仮面だけど、
看護師としての腕は抜群に良い。

注射とかされても全然痛くないのだ。