【短編】異世界の館

真実を話したトコロで、俺は頭のイカレた殺人犯になってしまうだろう。






そう…俺は誰かがこの家の異変に気付いた瞬間から殺人犯にされてしまうのだ。







あぁ…









俺はどうしようもない気持ちでその場に静かにうずくまった。




俺のこの先の人生は、夢への代償をひたすら払うためにあるのだろうか。







これから襲いかかるであろう全てのコトを考えて寒気がする中、あの紳士の言葉だけが頭の中を何度も何度も回っていた。











『…願いが叶わくば、代わりのモノをもらいに行きましょう…』















代わりのモノ…





あまりに大き過ぎる、夢への代償…








俺の彼女、






俺の両親、









俺、自身…











俺は最後の力を振り絞ると、横に落ちていた太いロープを手にとった。


最終日に起きたイベントで、サキが俺にくれたプレゼントだった。


あの時は全く意味がわからなかったが、今の俺には



わかる。











俺は、これから先の重すぎる重圧に耐えられる程強い人間ではない。




それは、俺自身がよくわかっている。





サキも、よくわかってくれていたんだ…






恨むべき相手なのに、自然と目頭が熱くなるのを感じた。








そして……





ゆっくりと、


ロープを…

















首に………