【短編】異世界の館

そんな筈はない。


俺は確かにサキと会話をしていた。
サキはしゃべっていたんだ!
サキは生きていたんだよ!!






まさか…



俺はゆっくりと目を閉じた。何かをよく考えようとする時の癖だ。







…全ては、夢だったとでも言うのか?








そんな筈は…










ない。







俺は確かに覚えている。


サキの声を。

サキの温もりを……







しかし、サキに何度話しかけても返事は返ってこない。
何度手を伸ばしても触れる事は決して出来ない。




何で?



ねぇ、何で?



頭の中がいっぱいで考える力を失いそうになった時、急にガクガクと震えて床に膝を着いた。



一つの疑問が頭の中に浮かんだからだ。


























ジャア、ダレガ、リョウシンヲ、コロシタコトニナルノ?






















この状況で、誰が、ゲームのキャラが生きていたと信じてくれる?

誰が、ゲームのキャラが殺人犯だと信じてくれる…?

あの赤い染みも、画面上のバグだとされるに決まっている。