【短編】異世界の館

俺は確信を得るために、真っ白になりそうな気持ちを抑えながら急いで階段を昇り、自分の部屋の扉を開けた。




『スタートボタンを、押してね☆』



エンディングを迎えたためか、画面は最初に戻っていた。


サキが声を出すかわりに字幕が流れる事と、サキの服がうっすらと赤く染まっている事以外は…







「おい!!!サキ!」


俺はサキを見るなり怒鳴り散らした。


しかし、画面は同じままだ。


そういや、声を識別するんだっけ…



俺は気持ちを抑えて優しくサキを呼んだ。


「サキ?」



しかし一向に画面は変わらない。何度も何度もサキの名を呼んだが、半透明のサキの下に不気味に同じ字幕が流れるだけだった。


『スタートボタンを、押してね☆』








俺は両親を殺したであろう殺人犯を目の前に、段々と自分を抑えられなくなるのが感じた。



そんな時、ふと部屋の隅に転がっている「どきナイ3」のパッケージが目に入った。



そういえばあの日、裏面をよく見てなかったな…



急にそんな事を思い、パッケージを手に取って裏面に目を通した。


そしてそこに書いてある事に目を疑った。



〈注意〉
※暗い場所での使用は避けましょう。
※長時間の使用は避けましょう。
※当ソフトは、音声を採用されておらず字幕となっています。




字幕……?