17歳の冬、俺の母さんが死んだ。

事故死。

だったらしい。

葬式には予想以上に多くの人が駆けつけてくれた。

皆が順番に花を母さんに手向けていく。

そして皆が口々に“優しい人だったのに…”と言っていた。

俺は不思議と涙をこぼさなかった。

あまりにも急な出来事で感情が追いついていなかったのかもしれない。

親父なんかガラにもなく泣き崩れて、頼れたもんじゃなかった。

2、3日は俺の少ない給料で出前を取って何とかしていた。

しかし長くは続かずに俺の金は底をついた。

何か食う物はないかと冷蔵庫を漁ると母さんが作り置きしていたカレーやら、シチューやらがたくさん出てきた。

レンジで温めると懐かしい母さんの料理のにおいがした。

出前をなかなか食ってくれなかった親父も、母さんの飯は食ってくれた。

一週間たったが、親父は元に戻らない。

俺は一人で母さんの遺品を整理し始めた。

すると次々と懐かしい思い出が出てきた。

アルバムを引っ張り出して、ダンボール箱に入れるときに一枚の写真が落ちた。