百物語

その後、数日間は嫌みな先生に何度も指されたが、その度にあいつが助けてくれた。

そのうち周りからの見る目が変わり、片想いの相手もちょくちょく話しかけてくれるようになった。

そんなある時あいつに客人が来た。

「佐藤ちゃんいるー?」

その言葉に俺の隣の席の彼女が立ち上がる。

教室のドアの辺りで彼女と遊びに来たらしき友人と喋っている。

初めて佐藤の笑顔を見た気がした。

意外と可愛い顔してるじゃないか…。

俺は盗み見ているのが後ろめたくなって目をそらした。

その日も何時ものごとく、俺は先生に指された。

それも試験間近なせいか、一番難しい応用の問題だ。

俺は息をのみ、チラリと佐藤を見た。

佐藤は横目で問題を一瞬見るとぼそっと答えた。

「3x+10y」

聞いたままに答えると先生赤いチョークで丸をつけた。

俺は佐藤の方を向き小さく声をかけた。

「いつもサンキュ!佐藤。」

佐藤はこっちを向くと照れ臭そうに笑った。

それがなんか…可愛かった。

すぐに顔を背け窓の外を見つめるが、佐藤は分かりやすくて耳が真っ赤だった。

俺は理解もできず胸がぎゅっとした。

その日の放課後。

俺は片想いの彼女から告白された。