泰斗side


旗手菜波。
俺と同じクラスの女の子。
……友達。

放課後、玄関で菜波を見つけた。
俺は走って菜波のもとへ向かう。


「なっなみー!!」

「ひゃっ!
いきなり後ろからだ…きつかな……」


初々しい反応の菜波見てると、もっとからかいたくなるんだよなぁ……って!


「菜波!?」

「ううっ…」


倒れそうになった菜波の身体を抱き寄せると、すごく熱があることに気づいた。
息も荒くて、とても苦しそうにしている。

大丈夫かよ…!!
と、とりあえず保健室だよな!!

菜波をおんぶして、急いで保健室へと向かった。


ガラガラ


「大ちゃん!!」


保健室の大地先生も、前の学校にいた人。
もちろん俺の知り合いだ。
そんな大ちゃんは保健室にいなかった。


「なんでいねーんだよー!
とりあえずベット寝かせるか…」


そっと菜波をベットに降ろす。
苦しそうな表情。
なんとか冷えピタを見つけて、菜波のおでこに貼った。


「すーすー……」


すぐに眠りについた菜波。
息もさっきより整っていた。

…とりあえず一安心。
あとは大ちゃん来るの待つだけか…

そっと菜波の手を握る。
そしたら菜波も握り返してくれた。

ドキッ


「か、かわいーな…//」


さらに強く握り返した。

菜波…俺はさ……


「んー…センセイ……」

「っ!」


菜波の寝言に驚いて、パッと手を離してしまった。
センセイとは、きっと神ちゃんのことだろう。

……そっか。
菜波、神ちゃんのこと…好きなんだな。

少し悲しい気持ちになった。
菜波と神ちゃんの様子を今日見ていたら、両想いだろうなとも思う。

確かに、神ちゃんといる菜波は今まで見たことない表情ばっかりだしな。
ほんと、昔はこんな奴だとは思わなかった…
だから余計苦しいんだろうな、お前は。













__俺は菜波の全部を知ってる。