すると、カツカツと靴の音がして、俺のそばで止まった。
少し見上げると、堀さんがいた。
「向井くんの言うとおりだ。急に帰ると言ったワシも悪いが、君のそのような態度も悪い。」
そして、俺の方を見て、
「向井くん、すまなかった。ワシのひと言で子供にこんなことを言わせてしまって……」
俺は首を横に振って、
「僕は思ったことを言っただけです。それに、堀さんが謝るのは僕じゃないですよ。」
すると、歩き出して現場にいるスタッフや共演者ひとりひとりに頭を下げて謝って言った。
俺は再び品川さんの方を見て、
「先輩が謝っているのに、謝らないんですか?」
さっきまでの偉そうな態度はなく、品川さんもひとりひとりに頭を下げて謝っていた。
謝り終わったのか、再び俺のところに来た堀さん。
「向井くんのおかげでワシも少し反省した。教えてくれてありがとう。撮影はスタッフの為に中止にはしない。」
すると、一斉に安堵のため息や拍手が聞こえてきた。


