「席に着け〜」
先生が入って来たから、若菜とナツは慌てて自分の席に戻った。
「知っている人もいると思うが、転校生が来た。入って来い。」
先生が廊下の方に向かって言うと、ドアが開いた。
入ってきた転校生を見て、目を見開いた。
あたしだけじゃなく、みんなもそうだった。
「向井遥希です、よろしく。」
挨拶が嫌なのか、めんどくさそうに言っていた。
無造作に整えられた薄い茶色の髪
小さな顔に切れ長の目、筋の通った鼻に薄い唇。
肌はツルツルで手足が長く、スタイル抜群。
稀に見るくらいのイケメンだけれど……
「なぁ、向井遥希ってあの天才子役だよな?」
「あぁ、でもテレビで見た向井遥希と今の向井遥希全然違うくね?」
クラスの子らが、コソコソ話していた。


