「なぁ、本当は救ってほしいんじゃねぇーの?」




やめて……




「表では友達がいても、本当の友達がいねぇーんじゃねぇーの?」




やめて……‼︎




「……たに………が……るのよ。」



「奈緒?」



「あなたに何が分かるって言うの⁉︎目が覚めたら何も分からなくて、母親らしき人に責められて、あたしの唯一の居場所があそこなんだよ?あたしの全て奪わないでよ‼︎」




自分でも、分かっていた。



あたしの居場所はここじゃないって……



でも、自分の気持ちを殺さないと本当に自分が分からなくなるから……




「そこまでして、自分の気持ち殺したいの?」



「あなたにあたしの気持ちなんか分からないよ‼︎」



「あぁ、エスパーじゃあるまいしな。なぁ、お前逃げ続けているだけじゃねぇーのか?」




あたしが……逃げ続けている……?




「何バカなこと言ってるのよ。あたしが逃げて続けているわけないでしょ。」



「じゃあ、どうして、母親に責められただけで病院抜け出した?どうして、自分の家探そうとしなかった?全て、記憶喪失のせいにして逃げて続けているだけじゃねぇーか。」



「もうやめて‼︎」




記憶喪失になってから、誰もあたしの内に入って来なかった。



それに甘えて、あたし自身も何も言わなかった。