遥希side
「向井くん‼︎」
「田中、どうだった?」
「ダメ、誰も奈緒の姿見ていないって……」
「そっか……、あいつどこにいるんだ。」
「奈緒ったら、こんなに心配かけさせて……。許さないんだから。」
「田中悪いな、付き合わせてしまって……」
「ううん、私も奈緒のこと心配だし。じゃあ、私もう一度友達に片っ端から聞いてみるね。」
「あぁ、悪りぃな。」
パタパタと廊下を走って行った田中。
奈緒がいなくなってから、1ヶ月が経った。
奈緒に廊下に追い出されたとき、おばさんは自分の言った言葉の意味を理解した。
おばさんが謝ろうと病室を開けると、そこはもぬけの殻だった。
奈緒がいなくなったことが相当ショックで、床に座り込んで頭を下げて、奈緒、ごめんなさいと何度も何度も繰り返していた。
すると、俺の後ろに40代くらいの男性が現れた。
「何……やっているんだ……」
「奈緒がいないなったの……」
ーーバチンッ


