「奈緒、歌わないの?」
みぃが不思議そうにあたしの顔を見ていた。
あたしが選曲した音楽が流れていた。
ヤバッ、ボーッとしてた……
「歌うよ〜」
あたしの心情を察知しているのか、あたしのことを聞かないみぃ。
聞きたいこといっぱいあるはずなのに……
でも、聞いたところでほとんど答えられないからね……
「ねぇ、奈緒。」
「ん?何?」
「うち思うんだけど、一度家に帰った方がいいんじゃないの?」
いつか言われると思っていた……
そりゃそうだよね、一度くらい帰れとか思うよね……
でも……
「前にも言ったけど、あたし記憶がないからどこに住んでいたのか分からないんだ。それにね……」
今思い出しただけでも、すごく悲しくて苦しいと同時に怒りも込み上げてきた。
「母親と名乗っている人にね、何で事故に巻き込まれたぐらいで記憶失くすのよ‼︎って言われたの……」
「奈緒……」
あたし自身を否定されたみたいですごくショックだった……


