すると、顔を真っ青にさせた女の人が近づいて来た。




「なに……言ってるの……?あなたのお母さんよ‼︎新田奈緒、それがあなたの名前よ‼︎」




この人が……お母さん……?



あたし、新田奈緒って名前なんだ……




「何も覚えてないの⁉︎ねぇ、奈緒‼︎」



「おばさん落ち着いて‼︎」




さっき来た男の子が女の人を落ち着かせていた。




「奈緒、この子は知ってるよね⁉︎向井遥希くん‼︎奈緒のクラスに転校して来た子よ‼︎」




向井遥希……?



それより……




「あたし高校生なの?」




あたしの言ったことを聞いた途端、フラフラと床に座り込んだ女の人。




「新田奈緒さん、自分のことは分かりますか?」



「分かりません……」



「じゃあ、これは何ですか?」



「ボールペン。」



「ペンの出し方分かりますか?」




先生らしき人に渡されて、1番上の部分を押した。