「向井くん、教科書持ってる?」
「………」
「まだだったら、教科書いっしょに見よっか?」
「……あんたさぁ。何で俺に話しかけるわけ?」
「えっ、転校生だから話しかけただけで……」
「そういうのほんとうぜぇから。お前もどうせ同情しているから話しかけたんだろ。」
「ちっ、違うよ‼︎」
「そういういい子ぶるところがうぜぇんだよ‼︎」
バンッと机を蹴って、立ち上がって教室から出て行った。
「奈緒が話しかけてあげたのに何あの態度。偉そうにしてさ〜」
「天才子役だからって調子に乗んなよ。」
クラスからは向井くんの悪口ばかり聞こえてきた。


