「お父さんが倒れたって.....」

俯きながら聞こえないぐらい小さな声で言った

「ムッテに聞いた...ムッテがね、借金半分にしてお父さんを入院させてあげるって言うのだから.......」

「え、紫戸が?」

正直、紫戸のことはいい印象ではない

俺のなかでは


「うん、でも」

でも?が続くのか?


「私と柑也が別れたら」

「は?自分が付き合えなかった負け惜しみ?」

「違うよ.....ムッテはただ私を傷つけたいだけ」

「んだよ....それ」

嫌だと思いつつも別れるなといい切れなかったし

別れろということも無理だった


「私は別れるつもりだから」

そう告げられたのにでも、と返せなかった