「ばいばい」

パタンと、あたしがドアを閉めた後に、賢太がドアを開ける音が聞こえた。

賢太は、あたしが暗いのダメだって知っているから

きちんとあたしが家に入るまで見ていてくれる。

いい子やわぁ、あん子。

「ただいまぁ」

靴を脱ぐと、リビングにいたお父さんに呼び止められた。

「あ、夏南ちゃん! 今日暇?」

お父さんがソファーから立ち上がる。

お父さんは''ホントにあたしはこの人の子か?''ってくらい背が高い。

あたしはまたしても顔を上げて話す。

「うん、ヒマ。 何で?」

「いや、お父さんの友達の家にいかないかと思って。」

「なぜに?」

「お父さんの友達、前にも何度か話 聞かせたことあるだろ?

渓登って奴。  あいつの子供も高1らしくてなぁ。

うちの娘も高1だって言ったら、今度会わせてくれないかって。」

「うそっ!! 同い年の子?! 行く行く!!」

「おぉ、じゃぁ今から早速行こうと思うから、夏南ちゃん 着替えてきなさい。」

「はぁい。」



バタバタバタッ

あたしは制服から急いで着替えて、大急ぎで階段を駆け下りる。

「できたよ! お父さん!!」

「早かったな、じゃ 行こうか。 お母さん、行ってきます。」

「いってきまぁす。」

「いってらっしゃい。」