『うわぁ~うわっ!何だこりゃあ~~!』


馬の間を死に物狂いで走った。
矢の音が耳をかすめる。


『死ぬぅ~!うわっ!………、い…ってぇ。』


こけた。


『怖いぃ~!なんなんだよ~!』


『おい!』


『ん?』


こけた俺の横に、鎧を着た騎士がいた。顔は兜を被っているからよく見えない。
わかったのは、人間ではない事だった。


『ひぃぃ!何だお前!』


『助かりたいか?』


兜を被った男(?)は俺に話し掛けてきた。


『死にたいのか?』


『はっ?あ、ああ。助かりたいに決まってんだろ!』


『だったら………。』


兜の騎士は俺を片手で拾い上げ、後ろに乗せた。


『落ちない様にな。』


そう言うと、戦場を縫う様に走り出した。


『うわっ!もっとゆっくりぃ~!落ち、落ち、落ちるってぇ~~!』


『しゃべるな。舌を噛むぞ。』


『うわっ!危ねっ!後ろ後ろ!追い掛けてくるって!』


兜の騎士の後ろに三人、違う鎧を着た騎士が追い掛けて来る。


『こっちは二人乗り。追い付かれるのはしかたない。』


『冷静に言うんじゃねぇ~!どうすんだよぉ~!』


『振り切る。』


『無理だって、もうそこに……、うわっ!』


後ろの騎士三人は、俺の手の届く所まで来ていた。

手に持つ槍が、俺に向けて突かれる。


『やばいっ!』


そう思った瞬間。


ドンッ!


『あれ?生きてる?……それに……。』


どう言うわけか、騎士が一人減っている。
そして、俺の右手には騎士の首が握られていた。