刹那にコイ。


「お花の花粉を触ったら、受粉とか出来なくなっちゃうのではないでしょうか?お水も、私と同じところではなくて、もっと別なところにもかけてあげて下さい!」

「えぇー。水、沢山あげた方がいいんでしょ?ほら、土がいい感じに濡れてきた!」

「沢山にもほどがあります!びょびょじゃ無いですか?先生に怒られてしまいますよ?」

「大丈夫だって!じゃあ、これで最後だから、」

「はい…」

そう言うと、時田君は鼻歌をしながらお花に水をかけはじめた。

緑化委員に決まって2日目。緑化委員は以外と大変な仕事が多いです。
4月の私達3組の仕事は裏玄関のお花の水やり、これまた量が多いので、とても大変です。

「はぃ!おしまい!相澤さんジョーロ片付けようか!」

「はい。」

時田慎之介君は優しくてとても面白い人で、人見知りな私にも凄くやさしくしてくれます。
私達は裏玄関から校庭の隅にある倉庫にジョーロを返しに行った。

「ねぇ、相澤さん!桃子ちゃんって呼んでもいい?」

「えへぇっ⁉︎なっ…何をいきなり……!!」

驚きすぎて、変な声が出てしまった。


「いやさ、これから1年間お世話になるわけだし、相澤さん!じゃなんか遠く感じない?」

ジョーロを片付け終わった時田君はホコリをはらいながら話続ける。

「そんな事なんですよ?」

「いやっ!そんな事ある!桃子ちゃんも俺の事、時田君じゃなくて、慎之介ってよんで♡」

「えぇっ⁉︎」

時田君は私の背中を押して倉庫の外に連れて行く。
後ろからいいでしょ?いいでしょ?と時田君の声が聞こえてくる。
男の人にこんなことを言われるのは生まれて初めてだ。