欲しいから、来てくれただけなのに。





引っ越すから、あげようと思った。




なのに、自分の素直な気持ち伝えないで八つ当たりして……。





どうしてあたしは、いつも気持ちを伝えられないのだろう。





こんな言い方しかできないのだろうか。





「いいの?……心愛?」




後ろで聞いていたのかもしれない、お母さんがあたしに話しかける。






「もう、いいよ……」





もう、無理なんだ。





あたしはその日、自分の馬鹿さに、醜さに改めて気づいた。







そして、その日は思いっきり泣いた。